高齢者訪問フットケア
介護予防セラピスト 中西です。
現在、訪問先の施設の形態は様々です。
デイサービス・グループホーム・有料老人施設などがあります。
有料老人施設では自立の方から、介護度が高い方までがご入居しています。
では色々な方がいらっしゃる中で、どのような方の足の観察が見落とされがちだと思いますか?
意外かもしれませんが、介護度の低い方なんです。
有料老人施設では入浴介助なしの方だとスタッフやナースが、足を見る機会はほとんどありません。
グループホームでもご自身でお身体を洗える方は、足の洗い残しを多く見受けられます。
私の経験上、その中でも特に要注意なのは糖尿病をお持ちの方。
糖尿病は自覚症状が少ない病気ではありますが、ご自分も病気について知識を持って日常生活を送る必要があります。
その中に「足の観察」も重要な項目であります。
「神経障害」がある方では足先の感覚が鈍くなり、傷やタコなどの普通の方だと痛みがある症状も気がつきにくくなります。
しかし放っておき、そこから壊死が始まると最悪の場合は下肢切断という事態になりかねません。
私の経験上での統計ではありますが何故か、糖尿病の方は大きなトラブルに繋がりかねない、小さなトラブルを気にしない方が多いのです。
視力がほとんど落ちているのに、ご自分で爪切りをして傷を作ってしまう方。
水虫が悪化して痛みが出ているのに、自己判断で薬を塗って済ませる方。
巻き爪が強くなり、炎症があるのに気がついていない方。
上記のような症状がある場合、セラピストはケアに入ることはできません。
しかし早期に足の傷を発見する機会はあるのです。
小さなトラブルの段階での発見が、その後の人生をも左右しているのかもしれないのです。
そして定期的に観察することは、傷だけでなく浮腫や冷えの状態も観察できます。
ケア中の会話から体調などを伺うこともできるのです。
糖尿病をお持ちの自立のご入居者たちは、私のことをリラクゼーションのセラピストだと思っているかもしれません。
それでも構わないと思っています。
足を見せてくれる唯一の存在ならば、その立場を大いに利用して足を守っていこうと思います。