高齢者訪問フットケア
介護予防セラピスト 中西です。
高齢者フットケアをしていると、ケアに納得をしてもらえずにお断りされる場合があります。
そんな場合、介護の現場では「拒否」と言う言葉を使いがちですが、どうにも違和感があります。
タイトルにはあえて「拒否」と言う、言葉を使いましたがお断りの理由は人それぞれです。
※私たちのケア報告では、「拒否」の文言は使用しておりません。
<事例集②>
Mさん、80代男性。
夫婦でご入居。
手の爪が長く伸びていて何度、説得しても切らせてくれません。
施設スタッフが何度も、爪切りを試みましたがNG!
足爪はほとんどの爪が肥厚しているため、スタッフでも切ることができないことから応診医より、ケアのご予定を頂きました。
まず何故、手の爪を切るのが嫌なのかを伺いました。
長年、ギターを弾いていたので手の爪を短く切ってしまうと、弾くことができなくなってしまうからとお返事を頂きました。
私、楽器はまるでオンチなので「ピックを使用したらダメなんですか?」と言ってしまったら、怒られました(汗
そして部屋の隅からギターを持って来て、弾いて下さりました。
実は弾いてもらっても、爪が長い方が良いかは分かりませんでしたが・・・
とにかく、手の爪を切るのが嫌な理由は分かりました。
そこで弦を押さえる左手はそれほど、長くなくても大丈夫なのではないかと説得。
絶対に短くは切らないと約束をして、かなり長めではありますがやっと切らせてもらえました。
次は右手の説得。
長く伸び過ぎて爪が割れている所もあちこち、危険なので少しだけ切らせてもらいたいとお願い。
絶対に短くは切らないこと、長さはMさんに確認しながら切ることを約束して渋々、承知してもらいました。
少しずつ、少しずつ長さを確認しながら整えました。
※写真は別の方です。
手の爪が終わり、次は足の爪切り。
「足でギターは弾かないよねー!」と、こちらの説得は案外、スムーズでした。
決してMさんの意に添わないことはしないと、私のことを信頼して下さったのでしょう。
ケアが終わると、穏やかに「ありがとう」とのお言葉も頂けました。
「手の爪、切ってさっぱりしましたね!」と言ってもニコニコ。
Mさんもまた、爪切りが嫌だった訳ではありませんでした。
爪を短く切ってしまうことが嫌だっただけです。
それは何故か、ギターを弾くためだったのでした。
手の爪は足の爪よりも、伸びるのが速いので毎回、かなり長く伸びてしまっています。
毎回、同じように説得をして爪切りをさせてもらっています。