どんな仕事でも、スムーズに進めるために大切な要素は「コミュニケーション」ではないでしょうか?
私たちもフットケアサービスを提供し、お客様と接する上でとても大切だと思っています。
特に私たちのお客様のほとんどは、施設にご入居している高齢者です。
多くの方は何かしらの疾患をお持ちです。
認知症の方も少なくありません。
コミュニケーションは、お客様や施設のスタッフとの意思疎通に使うのは当然ですが・・・
実は、、、施術の中でのコミュニケーションは、他にも目的があります。
コミュニケーションは知覚を活性化するツール
私たちが提供している施術は約30分です。
その中でのコミュニケーションを挙げてみましょう。
②皮膚(保湿・マッサージ・爪切り)
③香り(クリームなど)
全てのコミュニケーションは「刺激」と言えます。
自分の内側を言葉にしてもらう
①言葉にする効果
たいてい、施術に入る前にご挨拶をして、お客様の体調を伺います。
「体調はいかがですか?」との私からの問いかけに「あまり良くない」「まあまあ」などの返事があります。
さらに問いかけます。「どこが良くないですか?」「まあまあっていつもと同じってことですか?」
当たり前の会話ですが、ご自分の体調を客観的に観察をしてもらいたいとの、意図があります。
具合が悪いならば、何か心あたりがあるのか? いつから悪いのか? 不安に感じているのか?
発熱や、どこかが腫れているなどの症状があれば、もちろん施設のスタッフが対処をして下さっています。
でも、対処する程度でない、どこかだるい、何となく重いって感じは、周りどころか本人も見過ごしがちです。
そこに問いかけることで、ご自分との対話のきっかけをつくります。
施術中もできるだけ、会話をするようにしています。
毎回、同じ内容の方もいらっしゃいますが、そこから少しずつ幅を広げていきます。
男性だとお仕事の話し、女性だと家族のことが多いですが人それぞれ。
ご本人が話したいことから、その時の状況や気持ちなどを問いかけていくと、口数が少ない方でも多くのことをお話しして下さります。
人は誰でも自分のことを理解してもらいたい、との欲求があります。
短時間ではありますが、その欲求の少しでも解消をすることができれば、お客様の気持ちの落ち着きになるのではないかと考えています。
そして自分の気持ちや、過去の出来事を言語化して伝える、と言う行為は脳への刺激です。
言葉・会話というコミュニケーションによって、理解してもらいたいとの欲求の解消だけでなく、脳への刺激になりリハビリ効果が期待できると考えています。
お客様の言葉に真剣に耳を傾ける
今日のお客様は90代の女性。
小指にウオノメができ、痛みのケアをしていました。
「もう90を過ぎたから、いつ死んでも不思議ではないけれど、痛いのは辛いのよ。」
「できれば死ぬまで、痛みなく楽に生きたいの。」
痛みの訴えは他の人にもしたかもしれません。
でも、痛くて辛い、死ぬまで楽に過ごしたいとの気持ちを打ち明けて下さったことに、意味があると思うのです。
私たちは施設のスタッフでもなく、家族でもない、第3者的な立場です。
でも、短い時間ではありますが、お客様の言葉のひとつ、ひとつに全力で耳を傾けます。
きっとその姿勢はお客様にも伝わってるはずです。
だからこそ、ご自分の気持ちをポツリと言葉にして、伝えてくださるのです。
様々な認知症の予防のトレーニングが出てきています。
計算や漢字のドリルなども効果があるのだと思いますが、真剣に耳を傾けてくれている相手に向かって、自分の気持ちを伝える行為も脳への刺激になるはずです。
そして、たった一人でノートに向かうドリルよりも、おそらく効果はあるはずです。
ご自分の気持ちや、過去の出来事をお話しくださるお客様は、表情が豊かになります。
また、言葉もハッキリと聞き取りやすくなります。
過去を振り返り涙を流す方、笑ってしまうエピソードに一緒に爆笑。
そんな場面も多々あります。
お客様を主人公にした会話、これはきっと脳への刺激です。
そしてリハビリです。
<言葉にする>この誘導も、ケアの一部なのです。